英会話でネイティブの言いなりにならず、きちんと断れますか?
こんにちは、英会話イメージリンク編集部の今井です。
私は浪人を経験し、さらに大学院では博士課程まで進んだので、世間一般の方に比べて社会に出るのがかなり遅いです。そのため、ネイティブとお互いの身の上話をしていて「働き始める前まではどんなことをしていたのか」と聞かれることがよくあります。
その都度複雑な経歴を長々と話さなければならはないのは、面倒くさがりの私としては苦痛だし、毎回充分な説明の時間が取れるわけでもありません。そこでそういったことを話すときは自分の中で決まったフレーズを用意しておき、聞かれたらその場に応じてそのフレーズを使ってサッと対処するようにしていました。
そこで今回は、英会話で「話したくない事柄」や「話すのが面倒な事柄」について聞かれた場合、相手の気分を害さず、どのように「その会話を断わるのか」を私の経験からご紹介します。
別の機会にする+話題を変えられそうな単語を入れておく
浪人よりも野武士っぽい。刀の握り方もただ握るのではない、独特の握り方があるんです
ネイティブ(以下「ネ」)「その歳になるまで何してたのよ?日本では、特殊な部類ではないの?」
今井(以下「今」)「日本で言うところの”浪人”をしていてさ、その頃は良い思い出があまりないから、話したくないんだよね。また話す気になったときに話すわ」
Native:What were you doing before then? Isn't that unusual in Japan?
Imai:I was doing what they call "ronin" in Japan. I don't have a lot of good memories from that time, so I don't want to talk about it, but if I feel like talking about it I'll let you know.
まずは、適度に悲壮感を示して、「このことについてはあまり触れられたくないんだな」と相手に悟ってもらい、更にネイティブの興味を引きそうな単語を意識的に持ってくることで、話を違うテーマに置き換える方法です。
私が「浪人」という単語を会話に入れたのは、日本の教育関連の話題は、ネイティブが関心を持ちやすいテーマの1つだからです。
「塾」とはなんなのか、「私立・公立」では実際なにが異なるのか。「センター試験」*1とはどんなものなのか、あるいは「浪人」するとどうなるのか・・・。これらを扱ったトピックスは海外のウェブサイトでも見かけます。それでもこのトピックスについて、日本人から直接聞きたいと考えるネイティブは意外と多いのです。そこで私も「教育談話」にそれとなくネイティブを誘導することにしていました。
聞き返す
MITと言えばハインツのケチャップラジコン「Heinz Automato」
ネ:「その歳になるまで何してたのよ?日本では、特殊な部類ではないの?」
今:「浪人していたからなんだけど・・・。そう言えば、アメリカには浪人っていう概念はないんでしょ?アメリカでは、大学にはそこまで厳しい審査無しで入れるんだっけ?」
Native:What were you doing before then? Isn't that unusual in Japan?
Imai:So it's because I was doing "ronin," but... Come to think of it, there isn't a concept of "ronin" in America, right? There you can enter university unconditionally, can't you?
と、答えの直後から、相手に完全に話題を振ってしまいます。
MIT(マサチューセッツ工科大学)出身の知人には「そういえばMITって日本でも頭がよくて変な奴が多いってことで有名だけど、アメリカではMIT出身の人ってどんな印象なの?」と聞いたこともありました。
私自身、英語圏の教育体系について未だによく知らないことも多く、個人的に気になっていました。そこで、自分の経歴を聞かれたら「浪人」の話題に絡めて、相手の出身国の教育体系を逆に聞き出し、話題をこっそり変える戦略を採っていました。
経験論ですが、欧米圏の人はこちらが質問すると長めにしっかりと答えてくれることが多いので、会話をリードしてくれる可能性も高いです。そうしたらしめたものです。
自分が興味のある話題について温めておいた質問があるなら、その質問を相手に投げかけてみるいいチャンスにもなり得ます。
はっきり断る
海兵隊特殊部隊MARSOC。CTRストック使ってます。クリス・コスタ氏が来年初来日するみたいですね
ネ「その歳になるまで何してたのよ?日本では、特殊な部類ではないの?」
今「その話はしたくないんだよなぁ・・・。悪いけど聞かないでくれるかな?」
Native:What were you doing before then? Isn't that unusual in Japan?
Imai:I don't want to talk about that... Sorry, but please don't ask.
はっきり「言いたくない」と言ってしまいます。当たり前ですが、これだけで会話を終えてしまうとただの嫌な奴になってしまうので、気の利いたフレーズ(ジョークなど)でフォローできれば最高です。
ネ「その歳になるまで何してたのよ?日本では、特殊な部類ではないの?」
今「悪いんだが、経歴の話はしたくないんだ。家族に特殊部隊がいてさ、俺も含めて家族のことは話せないんだよね(笑)」
Native:What were you doing before then? Isn't that unusual in Japan?
Imai:Sorry but I don't want to talk about my personal history. I have a member of the special forces in my family, and I can't talk about my family, including myself.
ネ「その歳になるまで何してたのよ?日本では、特殊な部類ではないの?」
今「経歴の話はしたくないんだ。自分の経歴を話すとね、次の日必ず血便が出ちゃうもんでさ」
Native:What were you doing before then? Isn't that unusual in Japan?
Imai:I don't want to talk about my personal history. If I talk about it, the next day without fail I'll have blood in my stool.
苦しまぎれでも、適当にジョークを挟んでおけば、相手もなんとなく「ああ、冗談で濁しているけど言いたくないんだな」と察してくれます。言いたくない、という自分の気持ちを出しても、ジョークと合わせれば雰囲気が柔らかくなるし、相手の気分を害したり、関係を壊さずにすみます*2。
まとめ
日本語の会話と同じく、英会話でも絶対に関係を険悪にせずに切り抜けられるような「魔法のフレーズ」は、残念ながら存在しません。
今回の記事を読まれた方はきっと「こんなの日本語でもやっとるわ」と思うかもしれません。ですが、頭では分かっていても、ネイティブが相手になると途端に「普段の会話での思考パターン」がすっぽり抜け落ちてしまい、「相手は外国人だから、何か特別な対応をしなければ。」と焦ってしまいがちです。
私自身、昔はネイティブと日本人は違う、と考えていたため、英会話を始めた頃は「英語を話すときの今井」と「日本語を話すときの今井」がいて、完全に別人格に分かれていました。
それが、ネイティブと何回も会話するにつれて、「お互い人間なんだから共通部分も多いし、気負わなくても良いんだ」ということを実感するようになり、会話するときの自分の人格に差はそれほどなくなりました。
英語だから特別な手法を編み出す、というわけではなく「この質問は日本語ならどうやってかわすだろう?」「これは日本語だと失礼かな?」と一旦冷静になって考えれば、正解が見つかるはずです。
ネイティブも千差万別なので、どの方法がベストとは言えませんが、上記の3つの方法を知っておけば、ほとんどの場合、雰囲気を壊さずに答えにくい質問を「回避」できると思います。