ヴェノムの本来の意味に関するウンチク【ボツ記事】
Venom (Original Motion Picture Soundtrack)
- アーティスト: Ludwig Goransson
- 出版社/メーカー: Sony Classical
- 発売日: 2018/10/05
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映画『ヴェノム』が大ヒットしていますよね。編集部で「ヴェノム」関連で、何か解説したほうがよさそうな英語トピックはないかなと探したのですが、あらぬ方向に進んでしまいました…。ボツになった記事のご紹介です。
遠藤 最近、映画『ヴェノム』が大ヒットしているけど、今井くんは知ってる?
今井 いえ…、なんか聞いたことがある名前ですけど、その映画は知らないです。
遠 アメリカン・コミックスの『スパイダーマン』に出てくる敵役を主人公に取り上げた映画らしいんだ。ツイッターなどでは「ヴェノムかわいい」って評判だよ。
今 説明が意味不明です(笑)
遠 で、ヴェノムは英語で venom と書くんだけど、その元々の意味は「毒」とか「恨み」ってものらしいんだ。軽く調べてみたら軍隊用語らしいから、今井くんが何か知っていないかなと思ってね。
今 あー、ヴェノム、ヴェノムかあ。ヴェノムと言えばアメリカ海兵隊のUH-1Y「ヴェノム」ですね。ちょっと待って下さい。その前に少し歴史の話をしましょう。
(編集部 ここから今井くんの独壇場です。興味のない方は「回れ右」お願いします)
今 アメリカが本格的にベトナムに介入したのは1964年ごろのことです。この時から米軍は戦術を大きく変えてきています。というのも、ベトナムはご存知大半がジャングルです。
ジャングルにより視界が悪い上、待ち伏せが得意な北ベトナム兵士と真っ向から勝負するのを避けたい米軍はヘリコプターによる移動・攻撃をこのときから本格化しました。…
石原莞爾も言うように、二次元の戦いから三次元の戦いに変わったとき、その「三次元」を担う存在が戦場を制圧すると。
木の棒と木の棒での戦いから、投石に変わったとき投石が戦局を大きく左右しました。その後は投げ槍、弓矢・・・という感じですね。
ちょうどベトナム戦争はヘリコプターがその役割を担っていたわけです。まあ結局米軍は負けましたが。
そしてそのヘリコプターと言えば「UH-1 イロコイス」、イロコイだとかヒューイだとか言われますが「イロコイ」は「毒蛇」の意味です。ちなみに米軍は必ず採用された機体になんらかの愛称をつけます。
まあとにかくもかくにも今の現代のヘリボーン、ヘリコプターによる戦術はこのときにほぼ出来上がったと言っても過言ではありません。バトルプルーフ(戦場で評価された)されているので、経験も申し分ない機体です。
デザインも洗練されていて、ザ・「ヘリコプター」という形をしていますし、様々な形で民間や自衛隊にも使われているのではっきりとは言えないまでも「なんか見たことある」という方は多いんでないですかね。
ベトナム戦争でのヘリボーンの有効性を認識した米軍はその後様々な機体で応用していくわけですが、このUH-1の機体をずっと使い続けていた部隊がいました。それがアメリカ海兵隊です。
オリジナルの機体は1959年に生産されているのでかれこれ60年近く経った「おじいちゃん」でもあるUH-1ですので流石にパーツの劣化などが見られてきます。それを改修し海兵隊カラーに染め上げたのがUH-1Y「ヴェノム」です。
Mk66ロケットモーターつまりミサイルみたいなものですがこれを多数同時発射できるハイドラ70を両サイドに1基ずつ、さらに12.7mm M2重機関銃をGAU-16として、M134 7.62mmガトリングかM240 7.62mm機関銃をGAU-17として追加可能です。
現代の戦闘では非力な部類かもしれませんが、戦場の局地的な場所を制圧するには十分ですし、その後鍛えられ上げたマッシブな海兵隊がヘリコプターから降りてきます。この様な火力を持つヘリコプターであること、オリジナルの名前がイロコイ(毒蛇)ということから「ヴェノム」、つまり「毒」という愛称がついても不思議ではないですね。
それで遠藤さん、何の質問でしたっけ?
遠 (ぐったり)いや…、今井くんが軍事オタクだってことはよくわかったよ…。
(おしまい)